
Shell House / The language of forest
木造シェルの土の家
長野県 2018年
Photos: takeshi noguchi

Concept Drawing


■ 設計主旨 Concept
信州の森の中につくられた、土から生まれる原初生命体として別荘建築。
建主からの「非日常的で美しく、時が経っても古さを感じさせない」という要望と
100坪未満の狭小敷地で景観条例による後退距離、建ぺい・容積率20%という条件から、
通り側の北・西側を閉じ、水路のある東・南側の大開口より冬に太 陽光と熱を取込み「周囲の森に溶込む」建築を意図し、
それを地場の木と土を使い、土壁の蓄熱・調湿を生かすパッシブ 建築として、
新建材(合板・集成材・石膏ボード)を使わず現代の省エネ基準を満たしてつくられた。
伝統的木組を生かし 屋根は木造シェル、軒は桔木を使用。
土と木が生命・生成・運動を示す「人に語りかける建築」である。
■ 受賞
2018年 中部建築賞 住宅部門特別賞。ウッドデザイン賞2018 。
2019年 長野建築文化賞 住宅部門最優秀賞(県知事賞)、Architizer A+Award 審査委員賞。
関東甲信越建築士会ブロック会 優良建築賞。
2020年 木の建築賞(モリノチカラ賞)、日本建築学会作品選集2020
■日本建築学会作品選集2020選評......佐倉弘祐様 (信州大学助教)
現地に赴き,まず目を惹くのが,卵を半分に割ったようなかわいい フォルムと水路に向けて鳥がくちばしを
開いたような開口部で構成さ れる外観である。一見奇抜に見えるが,景観法,既存樹木,敷地沿い
を流れる水路を考慮しながら,熟考した末に必然的に導かれた形状だ と言う。
軽井沢特有の設計要件を積極的にデザインへと昇華させてい る。
木造シェル構造に土壁を併用することで,線形の硬い印象が強い 木材に柔らかさを付加することに成功している。
また優れたスキルが 求められる施工に対して,「長野県には熟練した職人が多く,彼らが いなければ完成しなかった」
と職人への敬意も忘れない。土壁の一部 にあえて美しいキズリを残しているのが,その象徴だ。
内部空間は,水路方向を除くほぼすべてのアングルで木材と土壁が 共存しており,
大自然に包まれているような安堵感を覚えた。
周囲の 樹木とともに,木材と土壁の経年変化も楽しめる別荘にうってつけの 作品である。



1St Prize Nagano architectural
Award 2019


