■2) みらいのいえのみらい ーこれからの展望ー

 

 T: 今回のみらいのいえは、設計者だけでなく施主で、コンサルタントとして場づくりをお仕事とされている荒井様の力が大きかったと思います。    ワークショップで200人以上が集まるにぎやかな家づくりになりました。ご自分のイメージ通りの家ができましたか? 今回のような家づくりは現代においてどのような位置づけになると思いますか?「家づくりはコミュニティづくり」というコンセプトに共感します。これからこの家をどう三浦に根付かせていこうと思いますか?

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 A: ‘みらいのいえ’の名称は、最初遠野さんが‘みうらのいえ’と‘いのちのいえ’の2重の意味としてつけた名称ですが、私は、まさしくこの家こそ「みらいのいえ」だと思うのです。 自分は家づくりは地域づくり、地域づくりはまちづくり、即ち‘いえづくりはまちづくり’と考えています。この家づくりを通して三浦には、まちづくりに貢献する意識にシフトするきっかけを与え、まち全体が家を取り巻く自然、家、家族、地域などの大きな環境と共に楽しく成長していくプロセスを根付かせて、自然エネルギーのモデル都市として他の地域の模範になってほしいと考えています。

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 T: ある新聞のインタビューでこの家を「200年後も完成しない家」といういい方をされましたが、その意図について。今後この家がどのように成長していったらいいと思いますか?

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 A: ‘完成する’という言葉は、それ以上発展しない‘終わり’を意味としていると考えています。この家がサスティナブル(持続可能)な視点で、新しいものを取り入れつつその時代と調和を目指して、家にとりまく環境と共に成長していきたい、という意味です。

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 T: 庭等、今後の具体的な計画は?

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 A: 家の中では、Rの土壁の仕上げが残っていて、ワークショップでできればと思っています。暮らしてみて、家全体が自然素材の色の落ち着いた色合いなので,この壁だけは空間を引き締める特徴的な色にしたいと思います。例えば黒など・・。Rの壁が続いていますが土間の部分と室内の色を変えてもいいかもしれません。 庭に関しては、ビオトープ、家と庭との間にある砂利のアプローチを芝生などにして外と建物のつながりを作ること。 ウッドテラスにブランコ、ハンモックなどを設置して大人でも遊べる空間を作ること。そして、屋上緑化において、適している植物の模索です。

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T: 最初のコンセプトであった「庭の中で暮らすという」 中と外が一体となった家が出来ましたか?

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 A: それに関しては、NOとは言いませんが、まだまだです。(笑) というのは、家自体の話ではなく、これから自分たちで整備していこうとしている庭づくりがまだできていないためで、今後ビオトープ池や緑のカーテンなどをつくっていき‘行きたくなる庭’にしたいという意味で、楽しみを含めた“まだまだ”という意味の答えですね。 幅が2.4mあるテラスも意外と十分に活用していないんです。庭の整備がこれからということもあるし、(計画がまだ実現できていない)庭の木で表通りから少し目線が隠れるとテラスにもっと出やすいのかもしれませんね。

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■3) 設計者との出会い   

 

 荒井さんは元々横浜に住まれており、奥様共々もっと自然の多いところで暮らしたいと様々な土地を探されていました。あるとき600坪の三浦海岸の海の近くの今の土地を見て一目惚れ。土地購入の段取りをされ、すぐに設計のご相談をいただきました。最初のメールで「ぜひ代表作となるものをつくってほしい」。そして「これは自分にとっても作品だと思っている」とも。荒井さんのそんな熱い思いに少しでもお応えできていたら嬉しいのですが、当事務所をお選びいただいた理由は、どういうものだったのでしょうか?

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 T:当事務所に設計をご依頼いただだいた理由は? 他にも環境をテーマにした設計者はたくさんいますが、どこに着目していただきましたか?実際仕事をしてみてわかったこと。当事務所の仕事ぶりと感想などをお聞かせください

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 A: 最初から他の設計者は考えなかったので比較はわかりませんが、当初から、家を建てるにあたって「型にはまった普通の家は建てたくない」と思っていました。 以前から自然素材の家づくりということで、遠野さんのホームページとブログを読ませていただいていて、面白そうなことやっている人がいるな、と。遠野さんなら単に家だけを考えるのではなく、庭や周囲の環境をトータルに設計できるのではと・・・。 アート的な作品が多かったのですが自分にとってはそこが良くて、縛りがなくお互いに柔軟に家を一緒につくっていけるのではと感じました。住宅の経験がありすぎるとやる前から設計の方に、それは「ここまでしかできない」と言われてしまう。それが嫌だったので。 実際、お会いして話していく中で、考えを徹底してくれる設計者でありお互いの案や意見を確認していきながら、家づくりをサポートしてくれる心強い存在だと思いました。

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■4)みらいのいえ ーこれから家づくりをされようとする方にアドバイスー

 

 T: 家づくり全般に対して、実際に家をつくってみたご感想は?家づくりの際の心構えなどアドバイスをいただければ

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 A: 一般的によく「家は3軒建てなければわからない」といいますが、コスト的に一部の方しかできないことで、現実性を帯びていない。それなら逆に、「1軒で3軒分つくればいい」といいたいと思います。「家づくりは一回で終わり」と肩に力を入れず、まずつくってみて、家族の成長に合わせつくり直していけばいい。 それがまさに‘200年後も完成しない家’のことであり、家づくりに時間をかけて取り組んで向き合うことが大事だと思います。

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 T: 当事務所のみらいの建主さんへのアドバイスをどんな方が遠野未来事務所に合うと思いますか?

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 A: 私は、先ほど述べた‘いえづくりはまちづくり’という考えをベースに私たちの家づくりを通して、自然と人とのつながりを体験する楽しさ、喜び、問題を共有できる‘開かれた場’をつくれたことにとても満足しています。 そういう思想に共感を持てる方は、もちろんですが今年の震災で被災された方々に‘みらいのいえ’のような家を建ててほしいと思います。家族を失い、家が流されてしまったなどの苦しみを抱えながら、生きる希望をもって地域全体を復興していく意識がある被災者の皆さんに、このような家づくりをお勧めしたいです。 そのような方に、遠野さんが力になってくれると思います。

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 T: 今日は、 長いお時間どうもありがとうございました。激励とともに温かいお言葉の数々。とても励まされ、勉強になりました。 

このお話を糧にまた一歩自分なりに進んでいきたいと思います。みらいのいえの今後の成長、ご一緒するのを楽しみにしています。

 

遠野 未来 (遠野未来建築事務所) 2011.09.11

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コミュニティ・ビルドの家 = 家づくりはコミュニティづくり。

    ■ 建主様インタビュー 2 / みらいのいえ(2010年竣工) 荒井恭一様

    Build the earth with craftsmanship

 

            with local earth, trees, and people

              Architects studio in Karuizawa Japan

     

        遠野未来 建築事務所

地域の土・木・人で 大地を建築する

軽井沢の建築設計事務所

 

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