■ 建主様インタビュー 1 / みらいのいえ(2010年竣工)

                            荒井恭一様

地域と人に開かれた場。ぜひこのような家づくりを。

●  当事務所で設計させていただいた神奈川県三浦市の「みらいのいえ」に建主の荒井恭一さんご一家が住み始めて1年。1年点検に伺わせていただいた際、住まれたご感想や家づくりへの思いなどをインタビューさせていただきました。

 

 家づくりとコミュニティ、これから家づくりをされようと思われている方へのアドバイス、・・・これからの家づくりへのヒントがたくさんあります。これから家づくりをお考えの方、ぜひご参考になさってください。 ご自身でも「場づくり」やワークショップ、震災支援などの社会的活動をされ、「200年後も完成しない家」など、設計者にとっては衝撃的なキャッチフレーズで自宅を語る発想豊かな荒井さん。初めての家づくりの様子はどうだったのでしょう?  

 

 

■1)みらいのいえ  ーコンセプトと実際の暮らしー

 

 T: 竣工1年が経ち、実際の住み心地などを設計のコンセプトと照らし合わせ順にお聞きします。 1年暮らしてみていかがでしたか?うまく行った点、住んでみてはじめてわかった点、さらに工夫すべき点などがあれば教えてください。 まず、全体的なお話から。 当初からエアコンなしで暮らすというのがご要望で、通風などを工夫して設計しましたが、夏と冬の実際の様子はいかがでしたか?

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 A : 住み心地としては、私たちが直接感じるというより、都内に住んでいる友達を家に招いたときに皆が揃って「すずしいね」と言ってくれることで、エアコンがなくても涼しく暮らせていることに改めて実感します。夏は、高窓をつけた高低差換気など三浦地域の気候特徴である風を利用して、涼しさを引き出しているため、うまく通風や自然エネルギーを利用するように設計された家だなと思います。草屋根も断熱効果があると思います。冬は、薪ストーブによる輻射熱で1、2Fともに暖まり、快適に過ごしています。それでも場所として寒いところもありますが、人間の習性なのか、暖かいところに自然に集まってくることで自然にコミュニケーションがとれていい作用なのかもしれません。ま1た、薪ストーブで燃える薪は、何ともいえないよさがあり、見飽きません。 この薪ストーブは床暖もできるものでしたが、結局(床暖を)つけなかったのですが、それでも十分でした。海の近くで比較的温暖なうえに、床のヒノキの15mmのムク板が冷たくなくて良かった。断熱性もあるコロンブス工法(*)の効果もあるかもしれません。 また、住み始めてわかったのが、この場所に多い虫がほんのわずかの隙間から家の中にはいってくること。それは建具の隙間にパッキンを入れるなどして、解決しています。 (*注 コロンブス工法:今回地盤改良に使った地盤改良工法。基礎下の土を撤去し、建物重量の 偏りに合わせてEPS製の《ジオフォーム》を敷設する。免震、断熱効果もある。)

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 T: 設計時のコンセプトに沿って、実際暮らしてみた感想をお聞かせください

1 文化としての家・・・・コミュニティ・ビルドの家。 木と土の家に興味のある人が200人以上参加。家づくりを共有し、情報ネットワークを形成。

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 A: これは◎ですね。とても満足しています。 計画当初、自分も家づくりに参加したいという気持ちはあり、遠野さんと話している中でワークショップを開催することが気がついたら決まっていたという感じでしたが、やはりやってみてよかったと思っています。 また、私はこの家を当初から‘みんなの家’にしたいという思いがありました。それは“「分ける」から「分かつ」へ”という考えです。 どういうことかと言えば、‘分ける’ことの意味は、機能的、効率的な考えかたで用途によって場を分断していくことを表していて、‘分かつ’は、その対照的な意味で自然と人間において、エネルギーや共存のスペースを分かち合うという意味。遠野さんが言われている「巣」としての家をもっとオープンにして「場」ができないか?社会全体が「分かつ」という考え方にシフトしよう、という思いを皆さんとワークショップで共有したいと思っていました。 しかし、これらを実現するには工務店さん(株式会社 楽居)のご理解とご協力が必要であると、強く感じました。ワークショップを行う部分ができるのを待たなければならないし、現場にたくさんの人が入るので気を使う。・・・ 目に見えない面を含め、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この場を借りてお礼を言わせていただきたいです。有難うございました。 =========================

 T:2 近隣の木の使用・・・国産材の木と現場の土を使用。古材梁の再利用

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 A: とても気に入っています。 釘を使わず組まれている古材梁がつくる空間は、この家の象徴的な印象を表していて、実にいいです。 また、遠野さんが言っていた‘もちこまない もちださない’という地産地消の考えに同感であり、コンセプト、デザイン面の両方に満足しています。 この現場は遠野さん楽居さんと一緒に、この家に実際に使う木を見に天竜の山と製材所に行くところから始まりましたが、とてもいい思い出です。

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 T:3 伝統的木造技術と関連技術・・・軸組構法を基本に渡り腮、貫等の木組みを見せる。木摺による内部の土壁と版築壁 と漆喰の壁

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 A: 遠野さん、楽居さんとの話し合いの中で、それぞれの優れた技術や知識を持って案を出して決定したことですが、現代の匠による日本の技術や自然素材の価値が見直されてくるこれからの時代にとって、モデルとなる家だと思います。

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 T: 4 現代に調和したデザイン・・・・内部の曲面の土壁。家型を守りながら変化をつけた高窓と草屋根の屋上庭園。

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 A: いずれも招いた友人の評判はとてもよく、住んでいる私たちにとっては、特に高窓が気に入っています。

 吹き抜け部分に面している高窓がよりいっそう開放感を演出して、外とのつながりに役立っています。採光に関しては、当初から軒を大きく出したいという思いがありました。屋上緑化された屋根の軒(各面とも1200mmの出)により、夏の暑い日差しを遮りながら、光を取り入れることができ、太陽高度が低い冬は、日差しが部屋の奥に入るように設計されているので機能的で風景とも調和する屋根だと思います。 個人的には軒は(1200より)もっと出ててもよかった。構造やコストなど大変になるのでしょうが。

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 T: 5 室内環境への配慮・・・・ 高窓の高低差換気によるエアコンなしの暮らし。 LDKに分断せず、ワンルームでありながら曲面の壁や段差により、自由であいまいな暮らし方ができる

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 A: 高窓による換気効果というよりは、建物全体の効果の中での高窓としかわかりませんが、計画当初イメージとしてあったLDKを分断せずに各スペースを活用するライフスタイルや高窓、屋上緑化、土間など相互的な作用が合わさって効果が出ているのではないでしょうか。==================

 T: 6 土間の重要性。庭と家をつなぐものとして。冷蓄熱効果、働く場として。

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 A: 土間は、やはりあって良かったと思っています。使い勝手がいいので、今いろんなものが置かれていますが(笑)、今後フリースペースとしていろいろと活用していこうと思っています。当初計画していた妻の自然酵母のパン教室なども。

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 T: 7 地震の時の様子. 3.11の地震のときの様子はいかがでしたか? 構造計算により、建築基準法の1.5倍以上の強度にしてあり、地盤補強として免震効果もあるコロンブス工法を用いましたが、揺れ等はいかがでしたか?地震後拝見しても、基礎や壁など割れた部分などありませんでしたね。

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 A: 地震(震度5弱)がきた時は、たまたまこの家のウッドテラスにいましたが、直感的にこの家は大丈夫だなと思いました。この家の造りつけの本棚、食器棚は正面の扉がないのですが、ものが全く落ちませんでした。私に関しては、特に恐怖心もなかったので、出先の子どもたちや停電による今後の生活のことのほうが心配という心境でした。

 

    Build the earth with craftsmanship

 

            with local earth, trees, and people

              Architects studio in Karuizawa Japan

     

        遠野未来 建築事務所

地域の土・木・人で 大地を建築する

軽井沢の建築設計事務所

 

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