冬の日差しが土壁に当たるよう南面開口部をとった例。

(当事務所設計 みらいのいえ 三浦市)

 蓄熱面としての版築壁と土壁

 

 

 蓄熱面としてのストーブ裏面の版築壁

 ■  土壁の蓄熱性・断熱性について

 

 

 ●これからの日本の家づくりで、土壁の活用として注目されるのが

 

「熱容量の多い土壁の蓄熱性を生かし、太陽やストーブの熱を壁に蓄熱させ、冷暖房負荷を軽減する」こと。

 

これは調湿性とともに、土壁を現代の日本のすまいに取り入れる大きな利点となっています。

 

 

 現在の日本の温熱計算では

 

蓄熱性を示す 容積比熱(KJ/M3K) 天然木材520< 土壁 1100 < コンクリート2000・・・数値が高いほうが蓄熱性が高い

断熱性を示す 熱伝導率λ(W/MK)  コンクリート1.6< 土壁0.69 < 天然木材 0.12~0.19  ・・・数値が低いほうが断熱性が高い

 

 

という数値が標準で、土壁の蓄熱性は木の約2倍、コンクリートの半分強。

                                      断熱性は  木の1/3~1/6, コンクリートの約2倍というのが一般的。

 

では土の壁でも版築の場合はどうなのでしょう?・・・・

 

 版築は土を塗り重ねる土壁と異なり、「土を圧縮して突き固める」もので塗り壁より密度が高いのでその蓄熱性も違ってくきます。

 

日本ではまだ一般的なデータがないので、海外の資料での数値を上げてみます。

 

まず 版築壁の密度(kg/M3)ですが、一般的に 1700~2200 と掘り出された土1000~1500 に対し、170~200%程度、圧縮した分だけ 密度が高くなります。

私たちが前橋工大で測定した版築の密度も1300~2000  でした。

 

1 蓄熱性

 

 Rammed Earth -Design and construction guidelines-  (Peter Walker他 BRE BOOKSHOP 2005)*1 P80に 

厚み300mmの版築の壁の熱容量が450~570KJ/M2K とあり、容積比熱に換算すると450/0.3~570/0.3=1500~1900。

 

・・・ 日本の土壁の1.3~1.7倍

 

 コンクリートにほぼ近くなり、土壁は圧縮し、密度を上げることで蓄熱性が高くなることがわかります。

 

2 断熱性

 

 ただし一方で、土壁の断熱性については密度と断熱性が反比例します。密度が上がると断熱性が下がる。ということになります。

以下2つの土建築の資料にある値です。Rammed Earth(*1)土・建築・環境(*2)

 

 

密度 熱伝導率λ  

            (*1)(*2

 

750    0.20

1000   0.40

1200

1400      0.60   0.60

1600   0.80   0.80

1800   1.00    0.95

1900   1.30     -

2000      1.60      1.20

 

 λ0.69である日本の土壁は スサの量にもよりますが、密度が 1500前後です

 このデータは土壁にワラや軽量骨材などを入れて密度を½に減らし750にしたときは

熱伝導率λ0.69→0.20とを3.4倍にあげることもできる事を示しています。

 

 以上、版築壁は土の厚みの存在感という点では塗り壁と違う魅力があり、今後日本でも蓄熱壁として活用していきたいところです。

また蓄熱部位という点では日本で伝統的に行われてきた 「土間の床」 も効果があります。

 

 いずれにしても「土」を省エネにつながる魅力ある素材として、現代の住まいにぜひ取り入れていただければと思います。

 

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写真:前橋工科大 版築シェルター

   アトリエDEF 八ヶ岳 土のモデルハウス

   版築ロケットストーブ

 

*2:土・建築・環境 ゲルノート・ミンケ 輿石他訳 西村書店2010 

 

 

    Build the earth with craftsmanship

 

            with local earth, trees, and people

              Architects studio in Karuizawa Japan

     

        遠野未来 建築事務所

地域の土・木・人で 大地を建築する

軽井沢の建築設計事務所

 

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