■ 土の家 / About  Earth house

 

土の家について、一般的な方法と当事務所の方法についてご紹介します。

1 素材  なぜ土がいいか? 土と土に還る自然素材を使う。
  「生命力のあるすまい」をつくるのに「土」という素材はとても適しています。

 

人は土から生まれた・・・という考え方があるほど、土は人に生命力を与えてくれる素材ですが、特に当事務所の例ような「自由な造形」に向いています。

 

 どこでも手に入り だれでも扱えてリサイクルが可能な唯一の素材。

その土地の土を使えば、最も製造エネルギーが少ない建材・・・それが土です。

  

 吸放湿性と蓄熱性があって湿気が多い日本のすまいに適しており、その中に入ると「心地よさ」が実感できます。1000年以上、日本の建築は木と土でつくられて来ましたが、近代化と合理化の流れの中で「土」を使うことが少なくなりました。

 

 ここでもう一度 「土」を中心に建築を考えてみるとどうなるでしょう。

 

「土」を生かす構造として、湿気の多い日本で一番適している「木」。

土壁の芯となる「竹」や「木」。土を割れにくくするために入れる「わら」、「麻」、「紙」。

土壁の耐久性を上げるための「石灰」。・・・

 

 それぞれの素材が地球上にどうやってでき、どの時期に採取するのか・・・そう考えていくと「土」をつかって建築をつくることから「地球環境」すべてがつながっていることがわかります。

 

 温暖化と資源の枯渇、環境の荒廃が進む現在の地球。その地球に可能な限り負荷を与えない自然素材で、人の住まいをつくりたい・・・人と同じように、役目を終えたら廃棄物にならずに、

土に還してあげたい・・・

 

 そう願って当事務所では、材料としての「土」だけでなく「土に還る」という意味もこめて 「土の家」という言葉を使っています。

2 構造  土壁木造を基本に適材適所。
 

 地震が多い日本で土壁の家をつくる場合、基本的には土壁は構造として自立せず、木や鉄骨、コンクリートで基本構造をつくり、それとの組み合わせになります。※ 

 

その中でも湿気の多い日本では木造との一番相性が良く、当事務所では基本的に木造と組み合わせて土壁の住まいをつくっています。

 一方、ビルやマンションの中に、自立した壁として土壁を自由につくることも可能で、湿度などの室内環境や意匠性が向上し、これからのリフォームが多くなる時代に非常に有効です。 (▶事例)

  

 日本の木造編築には大きく分けて3つの種類があります。

 

1伝統的に行われてきた伝統的構法、2現在多く使われている在来軸組工法、3現代の金物を併用した木質構法。

 

その中で、耐力壁の接合法としては1は貫。2は筋交。3は金物。

 

壁のつくりかたでは、柱を見せて壁をのなかにいれる 真壁(しんかべ)

          柱を見せないで壁を柱の外に出す大壁(おおかべ)。

また木材としては丸太から加工するムクの製材と小さな材を接着剤で圧着してつくる集成材。

 

・・・大きく分けるとこのような分類に分けられます。

 

 設計者の考え方によってどの材料と構法を取るかが違ってきます。

 当事務所はすまいとして単に伝統的な民家を再現するのではなく、その要素も生かしながら、意匠的にも特徴のある現代のすまいつくっていきたいと考えており、以下の方針をとっています。

 

 どういう材でどういう構法で土の家をつくるか・・・まず大前提として接着剤の強度や人体への安全性に疑問が残る「集成材」と構造用に面材として使われる「合板」を使わないことからスタートしています。建物全てを「集成材-金物構法」つくることも行っていません。

 

 ですから柱と梁、構造材、造作材など木材は集成材ではない「製材」を使用。

産地や山がわかる、できるだけ県産材、近県の製材を使います。自然乾燥か松など曲がりやすい素材は機械乾燥を併用した自然乾燥で、国の基準である含水率20%以下にして使っています。

 

 構法としては、一般的な柱-筋交の軸組構法を基本に、お住まいによって柱-貫の伝統的構法、また部分的には大きな開口部をつくりたい場合は金物を併用するところもあります。

 

 いずれにしても構造的安全性を重視し的確な構造計算を行い、住まいの平面・全体の形状に合わせ、適材適所で使いたいと思っています。

 

 また木の加工は可能な限り伝統的木組みの手刻みで行い、木組みを見せるところは日本の大工技術の粋である継ぎ手、仕口を見せるようにします。

 

■ 貫(ぬき)と筋交(すじかい)について

 

 木造では、柱とともに伝統的工法は貫、現在の軸組工法は筋交という部材で耐力壁をつくります。現在では、壁がなくても柱と梁だけで構造的に成り立つ金物も開発されています。

 

土壁をつくる場合、柱の内側、真壁で納める場合は貫構法、柱の外側、大壁で納める場合は筋交構法になります。

 

現在、建築基準法では貫による壁倍率(壁の耐力を示す値)は1.5倍。

筋交の場合、厚さと巾によりますが たとえば 

 柱間に/のように1本かけた場合、厚さ4.5x巾9cmの場合は2.0倍。

 それをXに2本にかけた場合 は4.0倍。

 

と定められています。

 

では単純に筋交のほうが貫より強度があるか?・・・というと一概にはいえません。

 

 貫と土壁による構造は「柔構造」といわれ、竹カゴのように地震に対してやわらかに揺れて、揺れを吸収する方法。

 筋交による構造は、「剛構造」といわれ、地震力に対しできるだけ変形しないように突っ張る方法で、2つは考え方が異なるからです。

 

どちらも一理あり、構造実験で耐力が証明されて基準の数値が決められています。どちらを採用して構造設計するかは、設計者の考え方で異なります。

 

 当事務所では構造設計者と検討して構造計算を行い、建物の設計内容に合わせ一番適した方法を採用しています。これまで新築では大壁ー筋交構法の場合のことが多いですが絶対ではなく、古民家改修などで貫工法を使う場合もあります。

 

 震災が起きるたびに古い木造の建物が壊れたという報道がなされることが多いですが、倒壊した建物は構造的耐力が不足する施工をしていたことが原因のことが多く、木構造自体が弱いわけではありません。

3 意匠  新壁と大壁 内容によって使い分ける。
 

 真壁・・・伝統的な「和風の家」で使われる、柱を見せる方法です。

 

 これは構造材を現しにするため構造材の乾燥やメンテナンスの面で安心です。

ただし、空間が柱で決まってしまうため、平面や間取りに制約ができるのと、意匠的には柱で壁が区切られるため、空間が縦に区切られた「こまぎれ」の印象になります。

 

 大壁・・・「蔵」や「城」にみられるように、柱の外側に壁をつくる方法です。

 

 大きな面の壁をつくることが出来るので「流れる」イメージでつつまれるような空間、迫力のある壁づくりには適しており、当事務所がよく使う方法です。壁の厚みが柱で規定されないので、断熱材や壁の厚みを厚くし、蓄熱性・断熱性を上げられる利点もあります。

 ただし、柱や梁が見えなくなるので壁と天井には呼吸する塗り壁や木の自然素材を用いて適度な乾燥・湿度状態を保ちビニールクロスなどでおおって空気を遮断しないことが必須です。    

そして、ポイントとなる柱や梁は意匠的に見せて、メンテナンスが出来る部分はできるようにすることを心がけています。

 

 いずれにしても、建て主様のご要望をかたちにしながら、壁のつくり方を決めていきます。

 

 ※ 近年は日本でも土ブロックや版築などの厚い壁で土壁が構造的に成り立つ実験や実作も行われており、当事務所も試みをはじめています。 (▶ LINK 版築シェルター

屋根の木組みの例。横に入っているのが貫。

X字に入っているのが筋交。

    Build the earth with craftsmanship

 

            with local earth, trees, and people

              Architects studio in Karuizawa Japan

     

        遠野未来 建築事務所

地域の土・木・人で 大地を建築する

軽井沢の建築設計事務所

 

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